朝のホームルームが終わると、湊磨くんはクラスのみんなに囲まれる。
「透は行かないの?」
「ん? だっていつでも話せるじゃん。あたしは今度でいいや」
「ふぅん」
奈々は大して興味無さげだったけど、休み時間になるたび湊磨くんは囲まれていた。
昼休みになってもそれは変わらず、転校初日でだいぶ打ち解けたみたいだった。
そんな湊磨くんを見遣っていると、携帯にメールが届く。
「……えぇ~……」
「どうしたの?」
財布を持って立ち上がった奈々に、メールを見せる。
「昴、委員会の集まりあって今日は学食じゃないって。翔太とキョウも来ないって~」
「仕方ないじゃない。帰りは会えるんだから」
「ブーブーッ!」
「お黙り小太り」
「小太り!?」
「間違ったわ。ほら行くわよ小豚さん」
小太りも小豚も嫌なんですけど……。
携帯を閉じれば、漏れる溜め息。
昴に会いたかったなぁ~。学年違うって、やっぱちょっと寂しい……。
財布を持って奈々の後ろを付いて歩き、教室から廊下に出る。
「あ。なあなあっ!」
「ん?」
振り向くと、燃えそうなくらい赤い髪をした湊磨くんがいた。
「同じクラスだよなっ。学食ってどこにある?」
「ああ……あたしたち今から学食行くけど、一緒行く?」
「マジで! 助かるわーっ」
ニカッと笑う湊磨くんにあたしもつられて笑う。
「――碓氷も学食なの?」
後ろから声を掛けてきた大聖と忍が現れて、湊磨くんは振り向く。
「あー……同じクラスの! 今学食に案内してもらうとこでっ」
「俺らも学食」
「んじゃ一緒に行きますかー」
「おーっありがと!」
忍と大聖も加わって、あたしたちは学食に向かった。



