昴が寝始めてから2時間くらい。
あたしはテーブルの下に置いてあった雑誌を読んだり、昴の部屋を隅々まで眺めたりして時間を潰していた。
部屋の壁には写真が貼ってあって、文化祭に撮った写真を見つけた時には胸が締め付けられた。
「……後夜祭が終わったあとかな」
あたしと昴、奈々と翔太とキョウ。5人で仲良く笑ってる写真があった。
3ヶ月前だもんなぁ……ちょっと懐かしいかも。
昴と出会ってからあたしの毎日はもの凄い早さで過ぎていった。
最初は見てるだけだったのになぁ……。人生って何が起こるか、ほんと分からない。
背を向けていた昴に振り返り、眠っている昴を眺める。
――幸せだなぁ……。
昴の彼女になれるなんてちっとも考えられなかった。
こんな可愛い寝顔を見れる日が来るなんて、想像も出来なかった。
「……ずーっと一緒にいようね」
寝てる昴に愛を囁く。いつも照れてしまってなかなか言えないから。
こんな時にズルいな、あたし。
……昴が起きたら言ってみようかな。
ダイスキだよ、って。
「――トール……?」
「わ! あ、起きたっ?」
買っていたクリスマス用のケーキを我慢出来ず食べていると、昴が目を覚ました。
「ごめん。1人でケーキ食べちゃった」
ヘラっと笑うと、昴は起き上がってベッドに腰掛ける。
「大丈夫? あっ、熱計ってみて。あと着替え……っ汗かいたでしょ?」
まだぼーっとしてる昴に体温計を渡して、クローゼットの中から楽そうな部屋着を取り出した。



