「はい。お食べ」
テーブルに置いていた卵粥を昴の前に移動させるけど昴の手は動かず、ぼーっとお粥を見つめているだけ。
その姿を見て閃いたあたしは、スプーンを手に取ってお粥を少しすくう。
「昴はいっ。あーん」
口元まで持ってくと、何の躊躇いもなく昴はお粥を口に含んだ。
「……おいしー?」
首を傾けて顔を覗くと、無言で頷いてくれた。
可愛い……赤ちゃんみたい! 熱があるからだろうけど頬が火照って、余計胸きゅんパレードだよね!
「はい」
その後もあたしはお粥を食べさせてあげて、昴はペロリと綺麗に完食してくれた。
昴って日本食好きだから心配はしてなかったけど、完食するほどお腹空いてたのかな?
お腹いっぱいになったのか、昴はウトウトし始めた。
「あわ……っ待って待って! 薬……っ薬飲んだら寝ていいから!」
慌てて買い物袋から風邪薬を取り出して、ペットボトルの水を開ける。
えーっと……15歳以上は食後に2錠……。
説明書を読みながらカプセルタイプの薬を2錠取り出し、昴に差し出す。
「はい。これ飲んでね」
「…………」
昴は薬を見て、見たことないくらい物凄く嫌そうな顔をした。
あ、見たことはある。隼人と乱闘した時と同じ表情……。
よっぽど嫌なんだなぁ……でもダメ。可哀相だけど、ダメ!
「飲まないと治らないよっ。はい、飲んでっ」
嫌がる昴の手に無理やり薬を手渡して、飲むのを待っていると昴は渋々右手で2錠の薬をつまんだ。



