あたしの家の冷蔵庫とは全く違い、飲料水とヨーグルト、ジャムや調味料くらいしか入っていなかった。
外食とか出前派なのかな? お米買ってきて良かった……。温めるだけのインスタントだけど。
卵を2つパックから出して、残りは冷蔵庫に入れておいた。
「さて、作るか」
インスタントのご飯を沸騰した鍋に入れて煮込んいる間、万能ネギを少量刻み、卵をボールに割ってとかす。
……もういいかな?
煮込んだご飯はおかゆになり始め、塩で味をととのえたあと溶き卵を投入。
頭の中で1から60までゆっくり数えて、ふたをして火を止めた。
蒸してる間にまな板や包丁の片付けを終わらせ、鍋の蓋をあければふわふわ卵粥の出来あがり。
小口切りにしておいた万能ネギを散らして、一応味見。
「……」
んーっ上出来! あたしってばいつでもお嫁に行けますな! もちろん昴のとこにね!
ぐへへ……と笑いながらトレーを探して土鍋を置き、昴の部屋に持っていく。
レンゲがなかったから土鍋に銀のスプーンというアンバランスさは気にしない!
「昴~お粥作ったんだけど食べられる? 薬も飲まないと……」
寝ている昴を揺り起こすと、スッと瞼を開けた昴の青い瞳があたしを捉えた。
「……」
「起きられる?」
声をかけると、昴はゆっくりと上半身を起こす。
「お粥、食べられる?」
土鍋を見せると、昴はコクンと頷いた。
かっ……! かわっ、可愛い! 叫びたいくらいに!
でも大声を出すと頭に響くかと思って必死に堪えていると、昴はベッドから降りてあたしの隣に座る。
……まだ苦しいのかな?



