「すすすすす昴っ……!?」
ぎゅうーっとあたしを抱きしめる腕の力が強くなったと思ったら、スルリと背中から腕が離れる。
「……昴?」
昴の胸から顔を離すと、昴は眠ってしまったようで、寝息を立てていた。
かっ……可愛い! 寝顔初めて見ました! きゅんっ!
寝てるのをいいことに、ニヤニヤしながら昴の胸に顔をすり寄せる。
「…………」
変態かあたしはっ!
慌てて起き上がり、昴をちゃんとベッドに寝かせ布団を掛けてあげた。
スー……と寝息をたてる昴の頬は火照って、汗をかいてるけど苦しくはなさそうだ。
「………」
気付けば携帯のカメラを起動させ、昴の可愛い寝顔にシャッターを切った。
画面いっぱいに広がる昴の寝顔に、ニヤニヤと口の端が上がる。
「…………」
だから変態か!
自分の頬をバシッと全力で叩き、買ってきた薬や食材を袋から取り出す。
あたしは看病しに来たんでしょ!? そうです!
何とか自分に言い聞かせ、冷却シートを昴の額に貼ってから食材を持ってキッチンへ向かった。
「ふわ~……」
綺麗なキッチンだな。無駄な物がなくて、白で統一されたキッチンはあくまでシンプル。
「お借りしまーす……」
収納棚から小さな土鍋を拝借して水を張り、鶏ガラスープの素を入れて火にかける。
「失礼しまーす……」
冷蔵庫を開けると、これまた無駄がない。
……何食べてるんだろう。



