「キョウも陰謀得意そう……世界征服するの? キョウも、大魔王なの…?」
陰謀の時点で吹き出していた俺の横から奈々が笑顔で出てくると、透はビクッと体を揺らした。
「誰が陰謀得意な大魔王ですって?」
「何が!? 誰が!? 奈々が!? 奈々は天使でしょ!? むしろ女神……っ」
「誰、が、大魔王です、って?」
「ごめんなさいもう言いません許してください」
奈々が黒いオーラを出すと、透はガクブル震えて泣きそうになってる。見てて本当に面白い。
「仲いいねぇ」
「仲いいよ!? でもよく見てキョウ! あたし今奈々に抹殺されそうだよね!? 助けて!」
笑顔の奈々に胸倉を掴まれている透は必死に首を後ろに伸ばしながら、俺に助けを求める。
「くくっ……! 奈々、透が怖がってるよ」
「やぁねぇ。愛情表現じゃないの。ねぇ透?」
「ふぁひ……」
奈々に両手で頬を押しつぶされてる透は、もうちょっと愛情を感じる表現をしてほしいとか思ってそうだ。
「ははっ」
やっぱり仲がいいなと感じていると、小さな影が視界の端で動く。
「とーるっ」
ライアンが奈々に抹殺される寸前の透に抱きついた。
「んぬーっ! 可愛い~!」
すぐにライアンを抱きしめ返す透の顔はデレッデレ。
「ライアンはトールのこと、ダイスキだね」
昴は透の横に座って、透の膝の上に乗ってるライアンの頬を撫でる。
「ダイスキですー」
「あたしも大好きでっす!」
「きゃーっ」
透に顔をすり寄せられたライアンは嬉しそうにはしゃぐ。



