「奈々はもっと素直にならなきゃダメだよ」
そう言うと、そっぽを向いていた奈々は不服そうに俺を見る。
「なぁにそれ。私が素直じゃないって言いたいのかしら?」
「翔太ニブイんだから。分かりやすく言わないと」
「ニブイって何やねん!」
「ほら。すぐ突っかかるし」
「なんやお前今日腹立つわーっ!」
「翔太のこと好きなら、そう言わないとダメだよ」
翔太のことはひとまず無視してニコリと奈々に笑顔を向けると、溜め息をつかれた。
「やっぱ俺のこと好きなん!?」
目を輝かせる翔太に、奈々は相変わらず「うるさいわね」と毒を吐く。
「――ほら。否定してないじゃん。良かったね翔太」
奈々はもうちょっと素直になるべきだけど、翔太はもうちょっとよく奈々を理解すべきだ。
そうすれば、ほら。
お互いさっきよりもトゲが少なくなる。
「ほんまや……! ――っ俺も好きやで! めっちゃ好きやで奈々っ」
「お黙り翔太」
そう言う奈々の頬は少しだけピンク色。ほんと、素直じゃない。
「何笑ってるのよキョウ」
「何でもないよ」
なんだかんだ上手くやっていけそうな2人だなーと、思っただけ。
「……透はどうしたの?」
未だにジーッと俺を見つめていた透に声をかけてみた。
「……キョウも奈々の仲間?」
意味がよく分からず首を傾げてみると、プルプル震える透は小動物にしか見えない。



