「そうやでキョウ! あり得へん! 俺らどんだけ悩んだと思っとんねん!」
奈々にボロクソ言われてへこんでいた翔太が突然怒り出した。
「だって聞かれなかったし」
「お見合い相手がお前のおじさんだと思わへんやろ!? そこ気付けや!」
ごもっともな意見で……。
「まあでも、お見合いが商談の為だってのは知ってたし、奈々も徠さんもそれを承知でお見合いしたわけだけど。奈々がみんなにそう言ってなかったから、俺も黙ってただけだよ」
「おう、意味分からへん」
「ぷっ」
「だーっ! お前はすぐ笑うの直しぃや!」
奈々はお見合いってしか言わないし、透にお見合いの場所を聞かれても冷たく答えてたのは、本当にお見合いするんだと思わせたかったんだろうなって分かってた。
その意図もなんとなく分かってたから、黙ってただけで。
「奈々のために言わなかったんだよ」
微笑みながら告げれば、透がまた俺をジーッと見てきた。
「意味分からんわ! 奈々も奈々やでっ。お見合いするってだけじゃ焦るに決まっとるやろ!?」
「だってお見合いだもの」
「形式的なものだからとか、もっと付け足すことがあったやろ!?」
「なぁにそれ。形式的だって言ったら、どうする気だったのよ」
「はあ!? 何を言うとんねん!」
「まあまあ。喧嘩はやめようよ」
仲裁に入っても、主に翔太が怒って奈々はツンとしていた。
もっと仲良く出来ないの? ほんと困った2人だな……。特に奈々のひねくれ具合。



