「まあまあ。次の機会にまた誘えばいいじゃん、な?」

「アホ! 今回はいつもとちゃうねん! トリやぞ! 大トリッ」

「じゃあ次もトリになるように、頑張るとか」

「そういう問題ちゃうねんっ!」

「じゃあどういう問題なのよ」

「そっ……れは……」


キョウと奈々から顔を逸らして、ガクッとうなだれる翔太はよっぽど奈々に来てほしいみたい。


協力してあげたいけど、奈々が行かないって言ったら、行かないんだよなぁ……。


「ナナ、どーしてもこれない?」


黙っていた昴が眉を下げながら問うと、奈々は目を伏せた。


「本当に無理なのよ」

「奈々ぁ~……お稽古終わってからでもいいんだよ。どうしても無理? ダメ?」


懇願するように両腕を掴んで見上げても、奈々は眉間にシワを作って首を左右に振る。


「無理よ、いくら誘われても」


奈々はあたしの頭を撫でながら、誰の目も見なかった。


「……もうえぇわ。俺練習あるからっ!」


えっ!


慌てて振り返れば、翔太はすでに走って帰ってしまった。


「仕方ないよ。じゃあ俺もバイトだから、またね」


「あ、頑張ってね! バイバイッ」


キョウも軽く手を上げて帰ってしまい、残された3人は微妙に空気が気まずい。