「なん……キョウまで……王良グループって、何?」
「うーん……会社だよね」
「あははっ! キョウ、そんな言い方じゃ分からないよ」
徠さんは声を出して笑うと、透を見て可笑しそうに言った。
「CMで見たことない? キングリゾートホテルとか」
「――えっ! あれ!? 日本で1番一泊の宿泊料金が高いっていう……!」
それこの前のテレビ番組で放送された情報じゃなかったっけ。
透、テレビッ子っぽいもんなぁ……。
「じゃあキョウはホテル王の息子なんだね~……。将来は会社を継ぐの?」
「ううん。ライアンが継ぐ予定」
何で!?って顔で俺とライアンを交互に見た透は、またひとり妄想の世界に入り、俺はそれを黙って観察する。
何でキョウが継がないの? ……はっ! まさか……キョウってお父さんと仲悪い!?
だから癒王亭でバイトしたり、ライアンに経営学教えたりしてるの!? そんな……。って感じかな。
コロコロ表情を変えては視線をあちこちに泳がせていた透は、大きな瞳で俺を捉える。
「キョウ! あたしに何か出来ることがあったら言ってね!? お父さんと仲良くしなきゃダメだよっ」
「ぶはっ!」
「何で笑うの!?」
俺の予想が的中過ぎて可笑しい。
透って考えてることがすぐ分かる。
まあ、5割くらい口から漏れてるからなんだけど。
「俺は昔から継ぐ気がないだけだよ。癒王亭でバイトしてるのは学校から近いってだけで、親父とも普通に仲いいから」
何で考えてたことが分かったの!?って感じの透に、せっかく堪えた笑いがまた込み上げてきた。
「え……でも、いいの? お父さん、継いでほしいとか……ないの?」
心配そうに言う透に俺は笑いかける。



