寛司の剣幕に、何一つ言い返す事が出来ない。


それよりも、あたしの頭ではある疑問が渦巻いていた。




「どうして覚えてるの…?」



「は?」



「なんで、レンが飛んでる所とか、針がみんなを襲ってたとか、そんな事を覚えてるのって聞いてるのよ…!」




地盤沈下を引き起こした茶色のチャームが現われた時だって、森が灰色の砂に変わった緑色のチャームの時だって、


あたし達がチャームを封印すると、人々の記憶は抹消され、チャームの事についてはまったく覚えていなかったはずなのに。




「寛司は…さっきの事、しっかりと記憶に残ってるの?」



「さっきから何訳分かんねぇ事言ってんだよ。見たモンは見たっつってんだよ」




どうして寛司は、はっきりと覚えているのだろうか。


―――記憶に残っていないはずの、チャームによる災いの事を。




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