リンの声が聞けなくなってから、四年の月日があっという間に過ぎた。

社会人になると、忙しい毎日に追われるようになった。いつのまにか友達の前で自然に笑える自分がいた。リンを忘れてしまうことは無いと断言できるが、リンのことを考える時間は嘘みたいに減っていった。

私は紆余曲折を経て、念願叶いコピーライターになった。コピーライターとしての名刺を初めて持った時、リンが生きていたら今ごろリンはニューヨークだろうか、と考えたものだ。

まだまだ世に出た私の作品は少ない。おまけに私が書くものは、地方ラジオで流れる二十秒のCMコピーだ。それでも、カーラジオから自分が書いたCMが流れると嬉しい。書くという仕事に拘って良かったと心から思う。