リンの見せる喜怒哀楽というのは、あらゆる場面で発揮され、正直なところ、私は、とまどうことも多かった。そして、羨ましかった。
大好きな人に抱きついて、

「好き」

と言える。

書いた手紙の返事が来ない時、

「どうして、返事をくれないのよっ」

と悲しみと怒りをぶつけられる。

そんなリンを見ているのは、とても気持ちが良かった。

私は、むしろ反対の人間だった。だから、私の心の内を彼女に話すことは、自分が今、泣くべきなのか、怒るべきなのか、喜ぶべきなのか、笑うべきなのかを、最も明確に知ることの出来る手段の一つだった。