春樹は… あの歪んだ生活から私を救ってくれた… あのバーで敬子に出会わなかったら… あの日、散歩に行かなければ… 雨の中、待っていてくれなかったら… 春樹はそんな積み重ねで出会った人… でも、それがなかったら… 春樹への気持ちはきっと、なかった… 会社帰り…駅から家へと歩いていると… 前から春樹が歩いて来た… 『春樹…私、今帰りなんだ…』 『そうか…』 『春樹はどこ行くの?』 『別に…』