「千波さん……何で?」 どうして春樹を見ただけで……彼氏だって分かったの? それとも、その辺で知り合った男を連れ込むような……そんな女だと思われてた? 言葉を失った私の代わりに、春樹が諭すように口を開く。 「違う、俺が勝手に来たんだ。まさか一緒に住んでるなんて知るハズ無いだろ?」 そんな春樹の声ももう……千波さんには届かない。 長い、綺麗に巻かれた髪を振り乱すと 「ふざけないでよっ!!」 聞いた事のないような金切り声が響き渡る。 「私だって……私だって春樹が好きだったんだから!!」