その頃、春樹の店では若い客に目をつけ会話をし、店外へと消えて行く千波の姿があった。 一度退出し……少しの時間を置いて戻ってくる。 その不穏な動きに店側が気付かない訳はない。 「おい、あれ千波ちゃんだろ?」 「……千波?」 あえて目立ちたいかのように振舞うその姿に春樹は唇を噛む。 そして……立ち上がった。