ガチャガチャと玄関のドアが開いたのはそれからだいぶ経った後で 「凛?」 部屋をノックする千波さんの声で目を覚ますと、明かりをつけていなかった真っ暗な部屋にキッチンから漏れる光。 「おかえりなさい」 目をこすりながら起き上がった私に 「これ、凛の?」 指差したのは……あの紙袋。 「ううん、知らない男の人が千波さんに渡してって」 さっきの出来事を話すと急に、だるそうだった千波さんの目の色が変わった……ような気がした。