本当に目と鼻の先だった事もあって、3分もしないうちに玄関に到着する。



いくら綺麗めなマンションとは言え、千波さんが会社から安く貸して貰っているだけあってオートロックなんて洒落たものは無く



時々止まってしまう問題ありなエレベーターまで辿り着いてボタンを押すとようやく大きな溜息が漏れる。



無意識に追われているような、そんな気がしていたらしい。



少しだけほっとしたせいで、ついでに体のあちこちが痛い事にも気付いてしまい……



熱いシャワーを浴びて横になろう。



そう決めて目的の階へと降り立った時






誰?



ここの……住人じゃ、無いよね?



部屋の目の前でうずくまって座る、見知らぬ人影がある事に気が付いた。