「凛っ!!」 気が付いたら、私は春樹の腕の中にいた。 涙が出るぐらい温かいその場所は私を癒してくれたけれど 一度持ち、しかし再び失った自信は簡単には戻ってきそうに無い。 「俺の事分かる?」 その言葉に小さく頷くと、お姫様抱っこで持ち上げられ、スカートの裾を何度も険しい顔をしながらパンパンと叩く春樹の顔をぼんやりと見つめていた。 何度春樹がそうしても、踏みにじられた醜い足跡は消えてくれないみたいだ。 ひょっとしたら……洗っても消えないんじゃないかって そう思うぐらいに。