「ここなら大丈夫だと思う」



「ありがとう」



その日の帰り、春樹が渡してくれたのは電話番号が書かれた紙で。



働きたいと言った私に知り合いの飲み屋を紹介してくれるんだと言う。



「別に合わなかったら無理に働かなくていいからな」



「ん……でも、一緒に暮らしてる先輩に悪いから早く仕事見つけたくって」



そんな私の頭を撫でると、まるで子供を見る親のように目を細めるから……なんだか照れくさい。



「じゃ、今日は帰るね」



「今日は送れないけど……明日の面接終わりぐらいに迎えに行くから」



そこには



今まで経験した事のない過保護な愛情が、まっすぐに私を包んでいた。



だから、もう何があっても大丈夫だって



そう思ったのに。