16の秋だった。 その人が家の中で倒れ、もう既に息をしていない姿を見つけたのは。 「おい!!」 俺の声はもう、届かなかった。 散らばる薬瓶の真ん中で、不思議と涙は流れなかった。 俺の存在を隠したまま、きっと心は父親の事を想っていたんだろう。 精神的に崩壊しかけていたのは…… 気付いていたのに……。 俺じゃダメだった。 存在しない男に、俺は負けたんだ。 守るんだって、決めていたのに。