「知ってる? 春樹の噂」 春樹……その言葉が聞こえた瞬間、私の耳は一気に研ぎ澄まされる。 つかみ所の無い人だからこそ、知りたい。彼の事をもっと。 「何? 絶対に二股しないって奴?」 「そうなんだけど、なんで二股しないのか分かる?」 「真面目なんじゃないの?」 「違うよー。何かね、自分の中で一番寂しそうな子しか興味がないんだって」 女の子達の会話に、胸がざわめく。