「春樹……助けて」 何から話していいのか分からずに、一番の願いを口にした瞬間 「いいよ」 迷いなく返って来る力強い言葉。 いいんだ。 私……本当に春樹に甘えていいんだ。 「最初に会った場所で待ってる」 何度もその言葉を反芻しながら、記憶にちゃんと残っていてくれたあの場所へ。 自分がそこへ向かう裏で、誰かを傷付けているなんて知らなかった。 これからは一人で苦しまなくてもいい。 そんな幸せでいっぱいのまま……私は家を飛び出した。