地元に戻った私は、近所のお菓子屋さんでアルバイトを始めた。
媚びない心からの笑顔で接客をする事は、夜の世界に慣れてしまった私には少し苦痛だったけれど、そんな私を応援してくれる仲間がいた。
怖がりで臆病な私に出来た、初めての友達。
私の見た目や、過去を責めたりしない彼女の事を信頼するまでかかった時間は本当に長くて
そんな私に彼女は……園子は言った。
「私、凛が心を開いてくれるまで意地でも頑張るから」
そんな事をしたって、何の意味も無いってのに……だから
「何で?」
そう聞いた私にきっぱりと告げた言葉を絶対に忘れないと思う。
「だって、友達になりたいから」
シンプル過ぎるその言葉に隠れた凄まじい破壊力で、あれだけ作っていた私の周りの壁を一気にガラガラと崩していったんだ。



