「どこに行くの?」



答えなんて、口にしてくれる筈が無いのに。



その場に立ち尽くしたまま、二人の距離が5メートルぐらいになった時、春樹は両手をポケットに入れたまま器用にジャンプをしてこっちを振り向く。



「さぁ、とりあえず住み込みでバイトでもして……キーボードが一台買えたらそれでいいかな?」



話したその顔が、驚くぐらいに晴れ晴れとしていたから……私はもう何も言えなかった。



歩くしかない。



春樹のいない未来。



そこに何があるのか分からないけれど、春樹が先を目指して進むのなら、私も進もう。



きっとそこに、彼の伝えたかった事が見つかるハズだから。