分からなかった。 楽になる事がいけないのか。 それに、春樹を必要としないぐらい、強くなったとしたら……それはもう私じゃない。 春樹の愛してくれた私じゃなくて 私を必要としないぐらい強い春樹も……また違う春樹で。 「大丈夫、凛だったらもっと高い所へ行ける」 「一人じゃ……無理だよ」 泣きそうな私の頭にそっと手を置いて、撫でるその優しさは昔のままで……。 そのまま背中を向けて、右手を上げた。 バイバイだというように、それを左右に振りながら春樹だけが歩き出す。