「……春樹っ!!」 刑務官に頭を下げて、ゆっくりと向かってくるのは少し痩せて、髪は短く刈り揃えられているけれど……間違いなく大好きな人。 なのに。 その人は私の隣を 黙って通り過ぎようとする。 目も合わさないままに、前を向いて、まるで私の存在が見えないかのように。 「春樹……?」 思わず腕を掴むと、観念したように足を止める。 けれど、その表情は……冷たく固いまま。