そんな日々が過ぎて行き、春樹が収監されて1年が経った頃。 マスターが不意に帰る私を呼び止めた。 「凛ちゃん、ちょっといいかい?」 その顔は、何かを決意したような顔で、なんだか私まで落ち着かなくなって……。 「最近は、眠れてる?」 深夜営業の静かなカフェへと場所を変え、唐突にマスターはそんな質問を投げかけた。 「最近は……眠れてます」 春樹と離れ、病気が治り、昼間も働くようになってから……不思議と普通に眠れるようになっていた。 あれほど薬に頼っていたと言うのに。