「私、もう大丈夫です」 「だから……春樹に会いに行って来ます」 そう立ち上がった私をカウンターの椅子に座らせて、マスターから衝撃的な事実を聞いたのは味覚が戻って少ししてからの事で…… 「実は……春樹は捕まったんだ」 ぽつりと呟くマスターの横顔は、嘘を言っているようには思えなかった。 そういえば、いつの間にか髭が前よりも白くなったような気もする。 「春樹が……どうして?」 思わず口を手で押さえた私にへと、更に残酷な言葉が降り注ぐ。