「どうしたの? 今日の春樹なんか違うみたい」 「そんな事……ないよ」 言える訳ない。理由なんて。 そっと頭を撫でると、そのまま裏口から送り出す。 「終わったら電話してね」 「分かった」 階段を下りて、最後の角を曲がるまで何度も何度も手を振る凛の姿を目に焼き付けようと 俺も繰り返し手を振ってみせる。 「バイバイ」 ……たぶん、これでお別れになる。 だって俺は……