そもそもこの家は千波さんの家では無くて、彼女が働いているお店の寮である。



千波さんもキャバ嬢で、細い体に長い髪。一見冷たそうで、全ての事を面倒くさいと思ってるふしはあるけれど、それを振り切る位の美人だ。



白い儚げな肌と不釣合いな舌っ足らずなモノの言い方は、同性の私から見ても充分な魅力を感じさせる力を持っている。



そんな彼女が働いている店はやっぱり連日盛況な有名店で、私が働くのは全然別な裏手にある小さな店。



まぁ、年齢を誤魔化している身だし仕方ないんだけど。



他人に興味が無いのか千波さんは私が何をしていようが、何時に帰ってこようが、触れた事は無くて……



それは楽なんだけど、結局自分は一人な気がして少しだけ寂しかったりもする。