最近凛がやけに明るい。 そう思ったのは、あの一件から2週間ぐらいが既に経過した頃だった。 「いい事あった?」 「ん、最近寝不足も解消してるし、なんだか体調もいいんだ」 その顔は……弾けるような笑顔で、それが嬉しかったから俺も深く気になんてしちゃいなかった。 むしろ、凛の笑顔と一緒に引き上げられたような、俺まで元気になれるような……。 だから、遅れた。 異変に気付くのに。 俺がやっと気付いた時には……凛の瞳は焦点が合わず、瞳孔が開いたまま、まるでよく出来た人形のように笑っていた。