春樹が私に言った。 「千波を支えてやって欲しい」 もちろんそのつもりだった。罪滅ぼしかもしれないけれど、千波さんが笑っていてくれないと、私達も幸せになれないような……そんな気がするから。 心の中で、常に私を追っていた強迫観念みたいな気持ち。 それも少しずつ薄れてきたような気がしていて…… 眠れない事を覗いては大丈夫。 過去の事、失くしてしまった記憶の事。 もう少ししたら、全部頭から消し去って、春樹と、千波さんと、未来だけを見て歩いて行ける。 そっと、そう願うんだ。