「捕まった大学生って、サラ金殺しも自白したんですってね」

「そうなんですよ」

羽田の部屋からは、下瀬智広とは違う血液のついたナイフと多額の現金も発見された。

ナイフについた血液は、吉沢信夫のものと一致。

そして多額の現金の金額は盗まれたそれとぴったり一致した。

「羽田修は1月6日の午後5時すぎ、吉沢信夫の店に客を装って来店し、隙をみて吉沢を殺害し、現金を奪いました」

「動機はなんなの?」

「ギャンブルで作った多額の借金の返済にあてるためだそうです」

「典型的な動機ね」

「羽田は手袋をして現場に指紋を残さないようにするなど、隠蔽の工夫をしていましたが、ひとつだけ致命的なミスをしました」

「ミスって?」

「現場に自分の運転免許証を置いてきてしまったんです」

「は?なにそれ」

「金のありかを知るためにはまず、金を借りる必要があったんですよ」

テーブルの上に持ち込んだ品を並べ終えた達郎が会話に入ってきた。