ぼうっとしていると、ギィと扉の開く音がして、私は一瞬どきっとしたが、それはキヨミちゃんだった。
「ハル、さっき男来てたの?
今そこで……」
膝を抱えて俯く私の姿が見えたのだろうか、キヨミちゃんの言葉が止まった。
そして私に駆け寄ると、心配そうに声をかけてくれた。
「ハル……!何があったの!?
さっきの男なの!?」
「……違うの……」
私の目からはぽたっと涙が流れた。
それは、貴志への涙だった。
「そんなんじゃないの……」
失ってしまった光。
私たち、あのままで良かったのに……。
右も左も分からないコドモのように泣く私をキヨミちゃんは受け止めながらずっと傍にいてくれた。

