翌日クラウンに行くと、珍しく貴志がいて、いつものソファーに座り、静かに本を読んでいた。けれど、その端整な横顔には、大きなガーゼが貼ってあった。 「……どうしたの、その頬」 私が尋ねると、彼はゆっくりと本から顔を上げた。 「ああ、これさ……昨夜の抗争に巻き込まれたんだ」 貴志はそう言って少し困った顔をした。 「それでさ」 パタン、と本を閉じる。 「ミノルの奴、昨日のデモで全身骨折の重態で、病院送りだって。当分……出てこられないらしい」