FAKE‐LAKE

「すごく、嬉しかったんだ。アンジェが僕の事を気味悪がらずに“人”として扱ってく……」

不意にレイは言葉を止めた。澄んだ瞳が潤み、頑張って作っていた笑顔が崩れた。

「あ……れ、おかしいな。嬉しいはずなのに涙、でるな……んて、あは、は」

止まらない涙を拭いながら、レイはなおも笑おうとする。

ああ。こんな時、何て言ってあげたらいいんだろう。

アンジェは自分の性格を恨めしく思った。慰めの言葉すら思い付かないなんて。出来ることなら、言葉無しに気持ちを伝えられたらいいのに。

「ごめん、ね」

レイは必死で涙を飲み込もうとする。まるで悪い事をしているかのように謝りながら。

理不尽な状況で沢山の傷を負ったレイ。想像出来ないような苦しみと痛みに耐え、それでも生きてきたレイ――

スケッチブックを脇に置き、アンジェは立ち上がった。レイの隣に座り、囁いた。

「もう、我慢しなくていいんだよ」