FAKE‐LAKE

「叔父さん、入るよ」

仕事中かな、と呟きつつリーナはゆっくり扉を開ける。

「ああ、リーナ。アツキに用か?」

「うん、約束してたケーキ焼いてきたの。叔父さんも一緒にどう?」

「そうだな。ここらで休憩するか」

セティは椅子から立ち上がり、大きく伸びをした。

「あと一件電話したら行く。先に二人で食堂に行っててくれ」

「了っ解!」

元気に返事をし、笑顔のリーナが部屋を出ていった。銀縁の眼鏡の向こう、優しい微笑みに寂しげな色が重なる。

セティは走り書きを見直しながら、かけなれた番号を素早く押した。何度かのコールの後、電話が繋がる。

「教授、セトナです。……ええ勿論、上手くやってますよ。ばれるようなヘマはしません……はい……ああ、変わりなく元気です。最近表情が明るくなりましたよ、アンジェは。教授にお見せしたい位です」

電話の向こうから聞こえる、安堵した声。

セティは一息置き、本論に入った。

「あと、今日はもう一つお尋ねしたい事がありまして。……例の件で」