FAKE‐LAKE

 杏に火が通り、甘酸っぱい香りが部屋一杯に広がった。口をパクパクさせて空気を食べるレイの姿に、アンジェは思わず吹き出した。
「蜂蜜これくらいでいいかな?」
「もうちょっと入れようよ」
「レイって本当に甘いの好きだよね」
 二人で試行錯誤つつ勘だけで作った杏の蜂蜜煮は、意外に美味しかった。
 夕飯の時、パンにのせて食べるといいかも、というレイの提案通りにしてみた。アンジェはニールから教わったハニートーストより、こちらの方が好きだった。
「美味しーい!」
 好きな物を食べている時のレイは本当に幸せそうだ。見ている方まで笑顔になる。
 食事を済ませた後、アンジェはレイがくれた大きな杏を部屋のテーブルに置いて、その色を絵に写していた。
「あ、なんか美味しそうな絵描いてるっ」
 ベッドに寝転んでいたレイが、スケッチブックを覗きこんでくる。
「レイからのプレゼントだからね。絵に残しておきたくて」
 えへへと嬉しそうに笑い、レイはまたベッドに寝転んだ。