FAKE‐LAKE

 ……人間じゃ、ない。
 “テスト”が終わり、ぐったりしているレイを男達は牢に連れ戻した。
「いつもそうやって大人しくしてろ」

 “R”というコードネームで呼ばれる少年は、手足を重たい鎖に繋がれ寒々しい牢の隅で膝を抱えてうずくまる。
 ……人間、じゃ、ない……。
 涙が出た。冷たい頬に伝うと、悲しくて流す涙も熱い。
『我々の道具なんだ』
 ――違う!
 心が叫ぶ。確かに人間じゃないかも知れない。
 ――でも、僕は“道具”じゃない!
 その心の叫びを伝えるために必要な語彙を、レイは知らなかった。いや、伝えた所でどうなるものでもなかっただろう。生意気だと殴られるか、逆らった罰として鞭で打たれるかのどちらかだ。
『ボクハ“ニンゲン”ニ ナリタイ』
 何度脱走に失敗し、どんなに酷い仕打ちを受けても諦められない。願いは日に日に強くなっていく。
『ボクハ “ボク”ニ ナリタイ――』