FAKE‐LAKE

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


「なぁ、セティ。腹減った」

街はずれにある古い洋館の一室。

だらし無く椅子にまたがった黒髪の青年は、目の前でコンピュータをひたすら操作している男性に甘えた声で訴えた。

ちら、と薄茶色の瞳が画面から視線を上げる。呆れたような表情で腹ぺこの青年を一瞥し、無言のまま画面に目を戻した。

「なぁ、腹減ったよぅ」

青年は哀れを誘うように感情を込めてリトライする。

コンピュータの向こう、溜息をついた男性の前髪がはらりと落ち、栗色の髪が眼鏡にかかった。

「腹が減ったなら自分で冷蔵庫から食べ物盗ってこい」

「“盗って”こいってか」

青年の苦笑も取り合わず、彼は淡々と言葉を続ける。

「何かおかしいか? お前は百戦百勝の泥棒なんだろ? それとも冷蔵庫にセキュリティかけないとやる気でないか?」