FAKE‐LAKE

「そうだったんだ……」

アンジェは視線を床に落とした。苦しい日々の間命を繋いでいた故郷の真実を知って、レイはどれだけ辛かっただろう。想像するだけで心が痛くなる。

「きっとさ」

レイはそっと絵に触れながら言う。

「子どもの頃って、目に映る世界が綺麗に見えるんだ。真実がどうあろうと」

アンジェは寂しそうなレイの横顔を見つめた。掛ける言葉が見つからなかった。

「大人になるって、何か切ないね」

大人になりたくない訳じゃないけど、と付け加えてレイは笑った。


フェイク・レイク。“湖の国”。帰りたかった故郷――

ふと、レイはアンジェが描いた『湖の国』の絵を思い出した。

話をしただけで描いてくれた絵。そしてあの時かけてくれた優しい言葉をも。

『いつか、帰れたらいいね』

「……そうだ」

レイは明るい声でアンジェに笑いかける。