FAKE‐LAKE

矢継ぎ早に質問するレイに、アンジェは色鉛筆をしまいながら答える。

「レイの話聞いてて、なんとなくそんな感じかなと思って」

「すごい……すごいよ、アンジェ。天才だ」

レイは絵を眺めながらアンジェの才能を何度も褒めた。

すごく、嬉しかった。誰にも信じてもらえないと思っていた故郷の事を、こんな風に描いてもらえるとは思わなかった。

アンジェは僕の話を信じてくれたんだ。それだけで、また涙腺が緩んだ。

「いつか、帰れたらいいね」

温かい声と優しい言葉に、レイは無言で何度も頷いた。

アンジェは湖に――いや、湖の向こう側に目を向ける。

“湖の国”はどこにあるんだろう? そしてそこは、人が幸せに暮らせる所なんだろうか?

彼の瞳は白く霞んで見える対岸の街を、そしてその向こうの何処かにあるまだ見ぬ国を見つめていた。