FAKE‐LAKE

「セティ……!」

セティは銃を持っていない。ということは、つまり――

惨事を察知したアツキの血の気が一気に引いた。

「ウェルズリー氏とレイは中か」

勘のいいシアナは瞬時に状況を把握したらしく、アツキの腕を掴んで指示を出した。

「アンジェの事はニールに頼め。ニール、アンジェを見つからないように連れ出せ。俺達は二人を助けに行く」

「わかった」

一か八か、こいつらに頼るしかない。敵では無さそうだと判断したアツキはニールにアンジェを託し、早口で説明した。

「通りまで出たらロジェ・ウェッジウッドっておっさんが待ってる。アンジェを連れて先にリアレスクへ行けって伝えてくれ」

「わかった」

ニールはアンジェを抱えて教授の所へ走り、アツキとシアナは急いで研究室へと戻った。


走りながらアツキはちらりと腕時計に目をやる。四時二〇分。時間が無い。

もう片方の“敵”が、そこまで近付いて来ていた。