FAKE‐LAKE


 ◇ ◇ ◇


アンジェを抱えて研究室を出たアツキは、何枚目かの扉を開いた所で立ち止まった。

「……セティ、遅い」

耳を澄ませたが物音が全くしない。すぐに追い付いてくると思ったのに。

もしかして何かあったんじゃないのか。

不安になったアツキは、早くアンジェを教授に託して研究室に戻ろうと先を急いだ。

不意に、カードキーをかざす前に扉が開く。アツキは一瞬電気が走ったような緊張に縛られた。

若い男二人が扉の向こうに立っていた。一人は赤茶の髪、背の高い方は金髪。

私服の兵かと思ったが、驚いている所を見るとどうもそうではないようだ。

「アンジェ!」

男の一人――ニールは、アツキにもたれてぐったりしているアンジェを見て駆け寄る。アンジェの左手の先から落ちる滴が、床に赤い点を幾つも付けていた。

緊張した空気の中、シアナとアツキの視線がぶつかる。お互い相手を知らないため怪訝そうに睨み合った。

「お前ら何者だよ」

アツキは詰問するようにニールに尋ねる。

「なぁまさか、アンジェ死んでんのか?」

ニールはアツキの質問を全く聞いていない。目の前にいるアンジェが青い顔をして気を失っている事が不安でそれどころではないのだ。

代わりにシアナが厳しい声で答える。

「アンジェとレイの知り合いだ。お前は」

「俺は二人を」

答えるより早く、銃声が遠くに響いた。アツキは息を飲む。