FAKE‐LAKE

「……お前」

「へぇ、覚えてたんだ? 意外だなぁ」

薄く笑いながらレイは帽子を外した。五年前に比べて少し長い水色の髪がふわりと現れる。

博士は言葉を失い、食い入るようにレイを見つめた。あの時死んだと聞いていたのに。

「死んだと思っていた? 残念だね、しぶとく生きてたんだ」

不敵に笑うレイに博士は呻くように問う。

「復讐に来たのか」

「そうして欲しい?」

レイは両手を紅茶のカップに伸ばす。触れた瞬間手から青白い光がカップに流れ、割れたカケラが弾け飛んだ。

「今の僕は“チカラ”を自由にコントロール出来るから、一息で楽にしてあげられるよ?」

博士は壊れたカップに視線を落とした。自分は恨まれて当然の事をしたのだ。いや、恨むという言葉では足りないかもしれない。

『一息で楽にしてあげる』

それでレイの気が済むのなら、少しでも償いが出来るのなら。

何かを悟ったような表情で博士は言った。