FAKE‐LAKE

『僕の家族になって』

レイとした約束を思い出す。そして嬉しそうに何度もありがとうを繰り返したレイの笑顔も。

「こんな、苦しくなるくらいなら」

アンジェは顔を上げた。苦しくて苦しくて、胸が潰れてしまいそうだ。

「あんな約束、するんじゃなかった」

「約束?」

「家族になるって約束」

亡くす事が、失う事がこんなに辛いなら。

初めから家族になんかならなきゃよかったんだ。

そう言って泣き崩れるアンジェにニールは力強く言った。

「大丈夫だ。傷は完全に癒えなくても、時間がお前の痛みを必ず和らげてくれる」

経験者がいうんだからな、と言ってニールはアンジェをもう一度抱きしめた。

「お前のおかげでレイは幸せだったと思う。それはおれが保証する。だから、そんなに自分を責めるなよ」


……ねぇ、レイ。

短すぎる人生の大半を劣悪な環境で過ごし、故郷には帰れず、あんなにまで虐待され最後には殺されてしまっても、それでも君は幸せだった?


アンジェは心の中でレイに尋ねた。

もう二度と、答えは返ってこないのだけれど――