FAKE‐LAKE

ニールは話しながら泣いた。

「教授さんが戻った時にはもう立入禁止になってて……聞いた話ではあちこちに血痕があって……依頼人の兄ちゃんもレイも……」

そしてシアナも帰って来なかった。ニールは唇を噛んで俯く。

「依頼人も……レイ、も……?」

確認するように問い掛けた後、アンジェは突然ベッドから飛び降りた。

「おい、どこ行く気だ!」

「基地に行く。止めないで」

ニールはアンジェを捕まえ、怪我人とは思えないくらいの力でもがく彼を全力で止めた。

「行ってどうする? もうレイはいないんだ」

「嘘だ!」

嘘だ。信じない。

アンジェの目にじわりと涙が浮かんだ。ニールは震えるアンジェをしっかり掴んだまま呻くように繰り返した。

「レイは、死んだんだ。レイは、死んじまったんだよ……」

お願い、誰か嘘だと言って。死んだなんて。死んでしまったなんて。レイが。弟が……!

アンジェは力無く床に座り込んだ。傷が開いたのか、左肩の包帯に血が滲んだ。

「レイ……」

嗚咽を堪えようとする細い声が、張り詰めた空気を震わせる。

助けてあげられなかった。あの時目の前に、すぐそばにいたのに。あの時、すぐに博士を撃っていれば――

「……殺して」

 アンジェは苦しそうに呻いた。