FAKE‐LAKE

乱暴な口調。温かさを感じない眼差し。

目の前にいるシアナは以前の――ニールが知っている彼とは全然違う。

でもその表情は真剣だった。ニールはじっとシアナを見つめる。

そうだ。信じよう。そう決めたじゃないか。

「見とれてないで、早くアンジェを連れ出すぞ」

「誰が見とれ」

不意にシアナはニールの口を抑えた。

彼は窓の外を見ている。ロスタナの兵らしき影が二人、近づいて来ていた。

「奴らだ」

ニールはシアナの腕を掴んで二階に上がった。アンジェはどこにもいない。多分湖に出掛けてるんだ。

外へ逃げる余裕が無かったので、急いで屋根裏部屋に隠れた。部屋はレイが使っていた時のままだった。

しばらくして階下にいかつい声が響く。

「いないようだな」

「普段森の中をちょろちょろしてるそうですから」

「しかし見張りはどうしたんだ。どこにもいないじゃないか」

「確かに」