FAKE‐LAKE

「世の中、綺麗事だけじゃ生きていけないからな」

シアナは優しく男の肩を叩く。

家族のため、生きていくためには汚れ仕事もする。突き詰めて考えるとそれが正しいとは言えないのだろうが、そうする男の気持ちはよく分かる。

「その中で、あんただけは違うと思った。だから話した」

男は意味ありげにシアナを見上げ、尋ねる。

「忘れ物って“チビ助”なんだろ?」

なかなかに勘の良い奴だ。

心の中で男を褒めながらも、シアナは表情を変えずに淡々と答える。

「さあな。何かあってお前が疑われるのは嫌だから教えない」

ある意味肯定の答えになっているシアナの言葉に男は黙って頷いた。

やっぱりこいつは違う、と男は再確認する。おれの事まで考えてくれてる。絶対良い奴だ。

「じゃあな。家族のためにも体だけは壊すなよ」

そう言って足早に立ち去るシアナに、男は心の中で呟いた。

――どうか、無事に――